真夏にエアコンが冷えない原因とは?現場で押さえるべき5つの視点

35℃を超える猛暑日。真夏の現場でよく聞かれるのが「エアコンつけてるのに全然冷えないんだけど……」という声です。新設直後の現場でも、既存設備の点検でも、冷えないトラブルは季節問わず起きますが、特に夏場はその頻度が高くなります。

この「冷えない」という症状、実は単にエアコンの故障だけが原因ではありません。現場の使い方・建物環境・設置ミス・経年劣化などが複合的に影響していることが多いんです。
この記事では、冷えない原因を見極める視点と、エアコン工事業者が押さえるべき対応策について、現場経験をもとに分かりやすく解説していきます。

室外機の状態が冷房効率を大きく左右する

冷えないトラブルの初動で必ず確認すべきなのが室外機の設置環境です。
真夏の直射日光をモロに浴びる場所に置かれていたり、通気が悪い場所に設置されていると、放熱がうまくできず冷却効率が大きく下がるというのは業界では常識。ですが、実際の現場ではこの点が見落とされがちです。

特に多いのが、ベランダの隅や密閉された狭小スペースに室外機が設置されていて、前面に物が置かれていたり風通しが悪くなっているケース。熱がこもった状態で運転を続けると、コンプレッサーが保護モードに入り、冷たい風が出なくなってしまうこともあります。

施工時には「将来的なメンテナンスのしやすさ」「風通しの確保」「日よけの工夫」まで意識した室外機設置が求められます。冷えないという症状が出たときには、まず周囲の環境と風の流れを確認するのが鉄則です。

冷媒ガスの圧力チェックで漏れや不足を見抜く

次に確認したいのが冷媒ガスの状態
エアコンの冷え性能を左右する最重要ポイントの一つが、このガス量です。施工不良や経年劣化、振動による微細なピンホール漏れなどが原因でガスが少なくなると、いくら設定温度を下げても冷気が出ない状態になります。

現場ではマニホールドゲージを使った低圧・高圧の測定や、電子式のガス漏れ検知器を用いて漏れ箇所の特定を行います。特にR32やR410Aのような高圧冷媒は、ほんの少しの漏れでも性能に大きく影響します。

また、配管接続部のフレア加工ミスによる微漏れや、パテ不十分な貫通部からの水侵入による銅管腐食も見逃せません。「冷えてはいるが効きが弱い」場合は冷媒圧力を確認するクセをつけておくと、的確な判断ができます。

フィルターと熱交換器の汚れが原因のケースも多い

意外と多いのが、フィルターの汚れや熱交換器の詰まりによる冷え不良です。
ユーザー側の定期的な清掃が不十分だと、フィルターにホコリが詰まり、吸い込み風量が極端に低下します。その結果、室温センサーが正確に反応しなくなり、冷却運転がうまく制御できなくなるんです。

さらに問題なのが、熱交換器に付着したカビや油汚れ。これはキッチンが近いリビング設置で特に多いです。見た目では分かりにくくても、アルミフィンに油膜が張っていると冷媒の熱交換効率が著しく低下し、エアコンは全力運転しているのに冷えないという状態に陥ります。

現場では点検時にフィルターの目詰まりだけでなく、アルミフィンの状態やファンの動作確認も必須です。必要に応じて分解洗浄やケミカルによる清掃も提案できるようにしておくと、より信頼感が得られます。

冷房が効かない部屋の環境や使い方に注目

エアコン本体が正常であっても、建物環境や生活習慣が冷えに影響しているケースも多々あります。
特に多いのが、遮熱カーテンや断熱施工がされていない部屋。日当たりが良い部屋では、窓ガラスから熱が入り込み、エアコンが常にフルパワーで稼働しても室温が思うように下がらないという事例はよくあります。

また、玄関や窓の開閉が多い、換気扇がつけっぱなしになっている、階段を通じて上階から熱気が降りてくる、といった環境面も冷房効率に直結します。
さらに、冷房の風が一方向に偏っていたり、部屋の構造が風の流れを遮っていたりする場合は、サーキュレーターの併用を提案するだけで体感温度がグッと下がることもあります。

エアコンの性能だけでなく、「冷やすべき空間の条件」をしっかりとヒアリングすることが、冷えないトラブル解決の第一歩です。

施工ミスが原因の場合は“再確認”と“丁寧な説明”を徹底

そして最後に、冷えない理由として決して見逃せないのが施工ミスや取り付け条件の不備です。
例えばドレン配管と冷媒配管の接触や、断熱材の巻き不足による結露、または逆勾配によるドレン水逆流など、施工のちょっとしたミスが原因で「冷えない」「湿度が取れない」といった問題を引き起こすことがあります。

特に再利用配管を使うリプレース工事では、既設の銅管内に残ったオイルやゴミが障害となるケースも多く、真空引きが甘いと冷媒循環に不具合が出ることもあります

工事業者としては、初回設置時の施工状況を可能な限り記録に残すこと、トラブル時には自社施工・他社施工問わず「原因を疑わず全体を確認する姿勢」が大切です。
加えて、お客様に対しては冷えない理由を専門的な言葉で終わらせず、「だからこうなっている」「こうすれば改善される」と丁寧に伝える姿勢が信頼に繋がります。

まとめ:冷えない原因は“複合的”に起きている

「エアコンが冷えない」という現場のトラブルは、原因が一つとは限りません。
冷媒不足・室外機の放熱不良・配管トラブル・断熱不足・生活動線の問題……こういった要因が複数絡み合って、結果的に“冷えない”という症状として表れているのです。

エアコン工事業者として、施工の腕だけでなく「原因を見極める目」と「提案できる力」を持っているかどうかが、次の仕事へと繋がるポイントです。
トラブルの解決を通じて「この業者にお願いして良かった」と思ってもらえれば、紹介やリピートに繋がり、繁忙期でも安定した受注が確保できます。

この夏も、エアコンの「冷えない」に真摯に向き合い、確かな技術と誠実な対応で快適な空間づくりをサポートしていきましょう。


現在、家電量販店業界ではエアコン工事をはじめとする家電設置工事の他にリフォーム工事にも力を入れております。
年々依頼が増えている家電量販店でのエアコン工事を円滑に進めるため、エアコン工事業者様を募集しております。
昨今ではエアコン工事だけでは通年でのお仕事を確保することが難しくなってきておりますが、当社ではエアコン工事以外にも様々な案件がございます。
年間を通して、家電量販店で仕事を貰う為のノウハウを共有することで、協力業者様とWIN-WINの関係を築いていきたいと考えております。
当社ではエアコン工事業者様からのご応募お待ちしております。
また、些細な内容でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

TEL052-799-7822
https://ac-sprt.com/contact/

Categorised in:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA