震災によるエアコン被害と工事業者の需要|復旧を支える現場の役割

震災では建物だけでなくエアコンにも被害が発生する

大きな地震が発生すると、住宅の屋根や外壁、窓、給排水設備など、さまざまな場所に被害が出ます。エアコンも例外ではありません。

見た目には問題がないように見えても、強い揺れによって室外機や冷媒配管、室内機の取付部分に負荷がかかっている可能性があります。

特に注意したいのが、室外機の転倒です。地面置きの室外機だけでなく、屋根置き、壁面設置、二段置き、ベランダへの設置などは、固定方法や設置場所の状態によって被害の程度が変わります。

室外機が転倒すると、室内機と室外機をつないでいる冷媒配管が引っ張られ、亀裂や折れが発生することがあります。メーカーも、転倒した室外機を利用者が自分で起こすと、配管や配線の損傷を悪化させる危険があるため、そのままの状態で専門業者へ相談するよう案内しています。

室外機は重量があるため、倒れた方向や設置場所によっては避難経路をふさいでしまう可能性もあります。日頃からネジや金具によって適切に固定しておくことが、地震対策として重要です。

冷媒配管や電線は外から見ただけでは判断できない

震災後のエアコン点検では、室外機が倒れているかどうかだけを確認すればよいわけではありません。

強い揺れによって室外機が移動すると、冷媒配管のフレア接続部分や配管の曲げ部分に無理な力がかかります。配管に小さな亀裂が入れば、冷媒ガスが少しずつ漏れ、運転しても冷えない、暖まらない、接続部分に霜が付くといった症状が現れることがあります。

配線の抜けや端子部分の緩み、ドレンホースの外れ、室外機内部のファンやモーターの損傷なども考えられます。目視では異常が分からなくても、運転時に異音や振動が発生するケースがあるため、電気が復旧した後に安全を確認しながら試運転を行う必要があります。

ただし、冷媒配管が破損している状態で室外機を動かすと、冷媒が噴き出して負傷する危険があります。倒れた室外機や大きく移動した室外機については、無理に触らず、エアコン工事業者による点検を待つことが基本です。

室内機の傾きや落下にも注意が必要

室外機だけでなく、室内機の取付状態にも注意が必要です。

一般的なルームエアコンの室内機は、壁に固定された据付板へ引っ掛けるように取り付けられています。正しく施工されていれば簡単に外れるものではありませんが、壁や下地自体が地震によって損傷した場合や、もともとの固定状態に問題があった場合には、室内機が傾いたり、壁との間に隙間ができたりすることがあります。

室内機が傾けば、落下の危険だけでなく、ドレン排水にも影響します。排水経路に逆勾配やたるみが生じると、運転を再開した後に室内側から水漏れする可能性があります。

エアコンの外観に大きな破損がなくても、壁から浮いている、以前より傾いている、運転すると大きく振動するなどの異常があれば、使用を控えて点検を依頼することが大切です。

震災後は点検・撤去・再設置・交換工事が重なる

震災後に発生するエアコン工事は、新品への交換だけではありません。

室外機の転倒点検、冷媒漏れの確認、配管修理、室内機の取付確認、破損した架台の交換、外壁補修に伴う一時撤去、住宅修繕後の再設置など、さまざまな作業が必要になります。

建物の解体や大規模な補修が行われる場合には、既存エアコンのポンプダウンや取り外しが必要です。その後、建物の復旧状況に合わせて配管をやり直し、エアコンを再設置しなければなりません。

一つの住宅でも複数台のエアコンが設置されていることは珍しくありません。被害が広い地域では、同じ時期に点検、撤去、修理、交換、再設置の依頼が発生するため、エアコン工事業者の需要が短期間に集中しやすくなります。

これは単純に「震災後はエアコンが売れる」という話ではありません。安全確認から復旧まで、一台ごとに建物の状態を見ながら判断できる技術者が必要になるということです。

夏場の震災ではエアコン復旧の緊急性が高まる

気温が高い時期に震災が発生した場合、エアコンの復旧は生活の快適性だけでなく、健康を守るためにも重要になります。

災害時には、停電や設備の故障によってエアコンが使用できなくなることがあります。さらに、避難生活や片付け作業では、慣れない環境や疲労によって熱中症の危険が高まります。国も災害時には冷房設備のある場所を利用し、在宅避難ではクーラーを積極的に活用するよう呼びかけています。

高齢者や小さな子ども、体調に不安がある人が暮らす住宅では、冷房設備を長期間使えない状態が大きな負担になります。

そのため、夏場の災害復旧では、電気や水道などのライフラインとともに、エアコンの点検や修理、交換工事についても早急な対応が求められます。

災害復旧では通常工事とは異なる判断が求められる

震災後の現場では、普段のエアコン取付工事とは異なる注意が必要です。

建物の外壁や屋根、ベランダ、手すりなどが損傷している可能性があるため、室外機へ近づく前に周囲の安全を確認しなければなりません。余震が続いている状況では、屋根置きや壁面設置、高所作業を急いで行うべきではありません。

建物の安全確認が終わっていない場合や、電気設備に異常がある場合には、エアコンだけを先に運転することもできません。必要に応じて建物の管理者、電気工事業者、リフォーム業者などと状況を共有し、作業の順番を調整することが求められます。

こうした現場では、作業の速さだけでなく、危険を見つけて作業を止める判断も重要です。

エアコン工事業者は地域の生活を支える存在

エアコン工事は、通常時には快適な室内環境をつくる仕事として見られることが多いですが、災害時には生活環境の復旧を支える仕事になります。

室外機を安全な状態へ戻すこと、壊れた配管を修理すること、使用できないエアコンを撤去して新しい機器を設置すること。その一つひとつが、被災した住宅で再び生活するために必要な作業です。

震災の規模が大きくなるほど、地域の工事業者だけでは依頼に対応しきれない可能性があります。周辺地域から応援に入れる施工体制や、複数の工事業者が連携できる環境を日頃から整えておくことも、今後さらに重要になるでしょう。

エアコン工事業者の需要は、夏の繁忙期だけに限られません。災害後の点検、修繕、撤去、再設置といった復旧工事でも、確かな知識と現場経験を持つ技術者が必要です。

エアコン工事は機器を取り付けるだけの仕事ではなく、人が安心して暮らせる環境を取り戻す仕事でもあります。震災が発生した際に安全で確実な対応ができる工事業者は、地域にとって欠かせない存在です。


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